こんにちは、たねやつです。
前回の記事では、なぜ今、幼児期の英語教育が注目されているのか、その背景についてお話ししました。今回は、多くの方が最も気になるであろう「メリット」に焦点を当てて、話を掘り下げていきたいと思います。
「早く始めると、英語脳が育つ」「ネイティブみたいな発音になる」といった話をよく耳にしますが、それは一体どういうことなのでしょうか?科学的な根拠も交えながら、早期英語教育で得られる具体的なメリットを4つご紹介します。
- 前の記事
- この記事でできること
- メリット1: 英語の「音」を聞き分ける”耳”が育つ
- メリット2: ネイティブのような発音が身につきやすい
- メリット3: 英語を「言葉」として自然に吸収できる
- メリット4: 異文化への好奇心と国際感覚
- 最後に
- 次の記事
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この記事でできること
- 幼児期に英語学習を始めることの具体的なメリットがわかります。
- 「英語脳」とは何か、その正体を科学的な視点から理解できます。
- なぜ子どもの方が、発音やリスニング能力の習得に有利なのか、その仕組みがわかります。
- 英語学習が、子どもの国際感覚や認知能力に与える良い影響について知ることができます。
メリット1: 英語の「音」を聞き分ける”耳”が育つ
乳幼児の言語習得研究の第一人者であるワシントン大学のパトリシア・クール(Patricia Kuhl)博士によると、生まれたばかりの赤ちゃんは、あらゆる言語の音を聞き分ける「普遍的聞き手(Universal Listener)」としての驚異的な能力を持っています。
しかし、生後6ヶ月頃から、日常的に触れる母語(日本語)の音に脳が最適化されていく過程で、母語にない音を聞き分ける能力は徐々に失われていきます。この現象は「知覚の狭小化(Perceptual Narrowing)」と呼ばれています。
例えば、日本語にない「L」と「R」の音の違い。大人がこれを聞き分けるのに苦労するのは、私たちの脳が、この2つの異なる音を日本語の「ラ行」という、たった一つの音のカテゴリーで認識するように特化してしまったからです(これをカテゴリカル知覚と呼びます)。
幼児期に英語の豊かな音にたくさん触れることで、この「知覚の狭小化」が完全に進むのを緩やかにし、英語の音を日本語とは別のカテゴリーとして脳内に保持することが可能になります。これが、将来的に高いリスニング能力を身につけるための、科学的根拠に基づいた非常に重要な土台となるのです。
メリット2: ネイティブのような発音が身につきやすい
言語習得には「臨界期(または敏感期)」が存在するという説があります。これは、ある特定の能力を習得するのに、特に感受性が高い時期があるという考え方です。特に「発音」に関しては、この臨界期が幼児期から思ゆ春期頃までにあるとされ、この時期を過ぎるとネイティブレベルの発音を身につけるのは難しくなると言われています。
子どもは、大人のように頭で理屈を考えて発音するわけではありません。 - 柔軟な聴覚: 聞いた音をそのまま、驚くほど正確にコピーする能力。 - 柔軟な口腔筋肉: 口や舌の筋肉がまだ柔らかいため、日本語にはない音を作り出すための形を簡単に作れる。
これらの理由から、幼児期はネイティブのような自然で美しい発音を身につけるのに、最適な時期だと言えるのです。
メリット3: 英語を「言葉」として自然に吸収できる
これが、いわゆる「英語脳」の核心部分です。英語脳とは、英語を日本語にいちいち翻訳せず、英語のまま直接理解し、思考する能力のことを指します。
例えば、"apple" という単語を聞いたとき、 - 大人の学習者: 「apple」→(頭の中で「りんご」と翻訳)→ 赤くて丸い果物をイメージ - 英語脳を持つ子ども: 「apple」→ 赤くて丸い果物を直接イメージ
このように、間に日本語を介さない思考回路を、子どもの脳は自然に作り上げることができます。幼児期は、言語を司る脳の領域が非常に柔軟なため、日本語と英語をそれぞれ独立した言語システムとして脳内に構築することが可能なのです。この能力は、将来、英語でスムーズにコミュニケーションを取る上で、計り知れないアドバンテージとなります。
メリット4: 異文化への好奇心と国際感覚
英語学習は、単に言葉を学ぶだけではありません。英語の絵本や歌、アニメーションに登場する様々な人種や文化に幼い頃から触れることで、自然と多様性を受け入れる素地が育まれます。
こうした経験は、子どもたちの視野を広げ、将来、国籍や文化の壁を越えて人々と交流することへの心理的なハードルを大きく下げてくれるでしょう。
最後に
今回は、幼児期からの英語教育がもたらす4つの大きなメリットについて解説しました。特に「音」に関する能力や、英語を自然に受け入れる「英語脳」の形成は、この時期ならではの特権と言えるかもしれません。
しかし、これだけ聞くと「やっぱり、すぐにでも始めた方がいい!」と焦ってしまうかもしれませんね。ですが、物事には必ず光と影があります。
次回は、早期英語教育のデメリットや注意点について、しっかりと目を向けていきたいと思います。