こんにちは、たねやつです。
前回の記事では、幼児期から英語を始めることの輝かしいメリットについてお話ししました。「英語脳」やネイティブのような発音など、魅力的な言葉が並びましたが、今回はその裏側にあるデメリットや注意点について、冷静に、そして深く掘り下げていきたいと思います。
特に多くの保護者が心配するのが、「セミリンガル」や「ダブル・リミテッド」と呼ばれる状態です。早期英語教育が、子どもの大切な母語である日本語の発達に、本当に影響を与えてしまうことはあるのでしょうか。
- 前の記事
- この記事でできること
- デメリット1: 母語(日本語)の発達が遅れるリスク
- デメリット2: 子どもへの過度なプレッシャー
- デメリット3: 親子のコミュニケーション不足
- デメリット4: 経済的な負担と時間的な負担
- 最後に
- 次の記事
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この記事でできること
- 早期英語教育におけるデメリットや注意点を具体的に理解できます。
- 「セミリンガル(ダブル・リミテッド)」とは何か、そのリスクについて知ることができます。
- 母語である日本語の確立が、なぜ子どもの成長にとって重要なのかがわかります。
- 英語教育が子どもや家庭に与えうる、学習面以外の負担について考えることができます。
デメリット1: 母語(日本語)の発達が遅れるリスク
これが、早期英語教育における最大の懸念点です。
セミリンガル(ダブル・リミテッド)とは? これは、英語と日本語のどちらも、年齢相応のレベルに到達していない状態を指します。日常会話は問題なくこなせるため、一見するとバイリンガルのように見えますが、語彙が少なかったり、文法が不正確だったりすることで、複雑な会話や抽象的な思考が苦手になる傾向があります。
例えば、 - 学校の授業で、教科書に書かれている内容が深く理解できない。 - 自分の考えを、論理立てて説明することが難しい。 - 本を読んでも、行間にある登場人物の感情などを読み取れない。
このような状況に陥ってしまう可能性があるのです。
私たちは、言葉を使って物事を考えます。特に、論理的思考や抽象的な概念の理解は、しっかりと確立された母語(第一言語)を土台として発達します。この土台がぐらついていると、その上に積み上げるべき思考力も不安定になってしまうのです。まず、母語で「考える力」をしっかり育てることが、あらゆる学習の基礎となります。
デメリット2: 子どもへの過度なプレッシャー
「我が子のために」という親の熱意が、時として子どもへのプレッシャーに変わってしまうことがあります。
- アウトプットの強要: 「英語で言ってみて?」としつこく促す。
- 間違いへの厳しい指摘: 発音や文法の間違いを、その都度細かく修正する。
- 他人との比較: 「〇〇ちゃんはもうABCが書けるのに」と、他の子と比べる。
このような関わり方は、子どもの「英語が楽しい」という気持ちを奪い、「英語=ママやパパに怒られるもの」というネガティブなイメージを植え付けてしまいかねません。その結果、子どもが英語に対して心を閉ざしてしまう、いわゆる「英語嫌い」を生み出す原因となります。
デメリット3: 親子のコミュニケーション不足
家庭での英語教育に熱心になるあまり、親子の会話が英語中心になってしまうと、別の問題が生じることがあります。
特に、親がネイティブレベルの英語話者でない場合、どうしても表現が単純になったり、感情の機微を伝えるのが難しくなったりします。子どもが本当に伝えたい細かなニュアンスや、複雑な気持ちを親が受け止めきれず、親子の間に深いコミュニケーションの溝が生まれてしまう可能性があるのです。
子どもにとって何よりも大切なのは、親との安定した愛着関係です。最も自然に、そして豊かに心を通わせることができる言語(多くの場合は日本語)での対話を、決して疎かにしてはいけません。
デメリット4: 経済的な負担と時間的な負担
幼児向けの英語教材や英会話スクールは、決して安いものではありません。数十万円単位の高額な教材セットを購入したり、毎月安くない月謝を払い続けたりと、家計への負担は大きくなりがちです。
また、スクールへの送迎や、家庭学習への付き添いなど、親が費やす時間的なコストも無視できません。共働きの家庭など、時間的な余裕がない中で無理に進めようとすると、親子ともに疲弊してしまう結果になりかねません。
最後に
今回は、早期英語教育のデメリットや注意点についてお話ししました。特に、母語である日本語の重要性については、改めて心に留めておく必要があるでしょう。
メリットとデメリット、両方を知ると、「じゃあ、一体どうすればいいの?」と、ますます混乱してしまうかもしれませんね。
そこで次回は、これらの議論に一つの視点を与えてくれる、脳科学や言語学の専門家たちの見解をご紹介します。「臨界期」の真実など、科学的な根拠を知ることで、少し冷静に全体像を捉えることができるはずです。