こんにちは、たねやつです。
これまで8回にわたり、幼児期英語教育のメリット・デメリットから、具体的なノウハウ、そして失敗談まで、様々な側面を見てきました。最終回を目前にした今回、全てのテーマの根底に流れる、最も重要と言っても過言ではない「親の関わり方」についてお話ししたいと思います。
どんなに優れた教材を使い、どんなに素晴らしいスクールに通ったとしても、子どもの一番身近にいる親のマインドセットがずれていては、その効果は半減してしまいます。
英語教育を成功に導く鍵は、子どもの能力や環境以上に、実は親の「心構え」にあるのです。
- 前の記事
- この記事でできること
- 心構え1: 「先生」ではなく「パートナー」になる
- 心構え2: 他の子と「比較しない」
- 心構え3: 結果ではなく「プロセス」を褒める
- 心構え4: 成果を「急がない、期待しない」
- 心構え5: 親自身が「英語を楽しむ」
- 最後に
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この記事でできること
- 子どもの英語学習をサポートする上で、親が持つべき最も大切な心構えがわかります。
- 子どもの「自己肯定感」と「内発的動機づけ」を育むための、具体的な声かけや接し方を学べます。
- 「他人と比較しない」「成果を急がない」ことの重要性を、深く理解できます。
- 親自身が英語を楽しむ姿勢が、子どもに与えるポジティブな影響について知ることができます。
心構え1: 「先生」ではなく「パートナー」になる
まず、大前提として、親は子どもの英語の「先生」になる必要はありません。発音を細かくチェックしたり、単語テストをしたり、文法の間違いを指摘したり…といった役割は、私たちの仕事ではないのです。
親の役割は、子どもと一緒に英語の世界を探検し、その楽しさを分かち合う「パートナー」であること。 「この歌、面白いね!」「この絵本、次どうなるんだろう?」 そんな風に、子どもと同じ目線でワクワク感を共有する姿勢が、子どもの「英語って楽しい!」という気持ちを何よりも育みます。
心構え2: 他の子と「比較しない」
「〇〇ちゃんは、もう英語で自己紹介できるらしい」 「うちの子は、まだ単語しか言えない…」
子どもの成長において、他人との比較は最も避けたい行為の一つです。言語の習得スピードには、驚くほどの個人差があります。たくさんインプットすればすぐに話し始める子もいれば、何年もじっくりとインプットを続けて、ある日突然溢れるように話し出す子もいます。
比べるべきは、過去の我が子の姿だけです。 「昨日より楽しそうに歌を聴いているな」 「先週は指差しだけだったのに、今日は単語を言えたな」 そんな、本当に小さな小さな成長を見つけて、具体的に褒めてあげることが、子どもの自信と次への意欲に繋がります。
心構え3: 結果ではなく「プロセス」を褒める
私たちはつい、「上手に言えたね」「正解!」のように、目に見える「結果(アウトプット)」を褒めてしまいがちです。しかし、そればかりだと、子どもは「うまくできないと褒めてもらえない」と感じるようになってしまいます。
本当に大切なのは、英語に触れている時間そのものを楽しんでいる「プロセス(過程)」を認めてあげることです。
- 「楽しそうにダンスしながら歌ってたね!」
- 「すごく集中して絵本を見ていたね!」
- 「間違えてもいいから、言ってみようとしたのがカッコよかったよ!」
このような声かけは、子どもの「内発的動機づけ」(楽しいからやりたい、知りたいからやる、という内側から湧き出る意欲)を刺激します。ご褒美で釣る「外発的動機づけ」とは異なり、この内発的動機づけこそが、生涯にわたる学びの原動力となるのです。
心構え4: 成果を「急がない、期待しない」
前回の失敗談でも触れましたが、親が成果を急ぐあまり、アウトプットを強要してしまうのは最悪のケースです。言語の習得は、マラソンのような長い道のりです。
コップに少しずつ水滴をためていくように、インプットを気長に続けていれば、水はいつか必ずコップから溢れ出します。その「いつか」がいつ来るのかは、誰にも分かりません。
「いつか話せるようになったらラッキー」くらいの、良い意味での「諦め」や「期待しすぎない」マインドを持つことが、親の精神衛生を保つ上でも非常に重要です。
心構え5: 親自身が「英語を楽しむ」
子どもは、親の言葉以上に、その「姿勢」を見ています。 親が英語のニュースに興味を持ったり、洋楽を口ずさんだり、海外の映画を字幕で楽しんだり…。そんな姿を見ることで、子どもは自然と「英語って、世界を広げてくれる楽しいツールなんだな」と感じるようになります。
親が英語に対して苦手意識を持っているなら、「ママも一緒に勉強してるんだ!」と、子どもと一緒に学ぶ姿勢を見せるのも素晴らしいことです。
最後に
今回お話しした5つの心構えは、英語教育に限らず、子育てのあらゆる場面で通じるものかもしれません。
子どもの中に眠る「学びたい」という好奇心の芽を、親の過度な期待や焦りで摘み取ってしまわないように。私たちは、ただ、その芽が健やかに育つための、温かい日差しや、たっぷりの水(=愛情)であれば良いのです。
さて、長かったこの連載も、いよいよ次回が最終回です。これまでの総まとめとして、「我が家にとっての英語との付き合い方」をどう見つけていくか、その最後の道しるべを示したいと思います。