こんにちは、たねやつです。
新しいSNS、話題のダイエット法、人気のファッションスタイル…世間で何かが流行りだすと、それに乗り遅れまいと多くの人が飛びつきますよね。日本語では「流行に乗る」や「時流に乗る」と言いますが、英語にはこの様子を的確に表す、少し皮肉の効いたイディオムがあります。それが jump on the bandwagon です。
直訳すると「楽隊の馬車に飛び乗る」。パレードで音楽を奏でながら進む華やかな楽隊の馬車(bandwagon)に、人々が次々と飛び乗っていく様子を想像してみてください。その光景が、なぜ「流行に乗る」という意味になるのでしょうか?
この記事では、jump on the bandwagon の面白い由来から、現代での使い方、そして「流行」に関連する他の英語表現まで、詳しく解説していきます。このイディオムを理解すれば、社会のトレンドに対する人々の動きを、より深く、そして少し批判的に表現できるようになります。
この記事で覚える英語表現
jump on the bandwagonの基本的な意味と政治的な由来get on the bandwagonとの微妙な違い- 様々な文脈での応用的な使い方
- 「流行」や「トレンド」を意味する類義語・代替表現
- 日常会話や社会評論での実践的な使い方
今日の英語表現
jump on the bandwagon の基本的な意味と由来
jump on the bandwagon は、「(深く考えずに)時流に乗る」「人気のあるものに便乗する」「流行に乗る」という意味のイディオムです。多くの場合、「自分の意見を持たずに、ただ人気があるからという理由で何かを支持する」という、少し軽蔑的、批判的なニュアンスで使われます。
由来について この表現は、19世紀のアメリカの政治の世界で生まれました。当時、選挙キャンペーンでは、楽隊を乗せた馬車(bandwagon)がパレードを先導し、人々の注目を集めるのが一般的でした。ある有名な道化師が、選挙で優勢になった候補者の bandwagon に飛び乗り、自分の人気もそれに便乗させようとしたことから、この言葉が広まりました。 つまり、「勝ち馬に乗る」という行為が、このイディオムの元々の意味合いです。そこから転じて、政治だけでなく、ファッション、テクノロジー、ライフスタイルなど、あらゆる分野での「流行への便乗」を指すようになりました。
jump on the bandwagon の使い方
肯定文:「彼は流行に乗った」
jump on the bandwagon は動詞句として使います。
When the new social media app became popular, everyone started to jump on the bandwagon. (その新しいSNSアプリが人気になると、誰もがこぞって流行に乗り始めた。)
She jumped on the bandwagon and started a vegan diet just because her friends were doing it. (彼女は、友達がやっているというだけの理由で流行に乗り、ヴィーガン食を始めた。)
`get on the bandwagon` もほぼ同じ意味で使われます。`jump on` の方が「飛び乗る」という、より衝動的で急な行動のニュアンスが強いですが、大きな違いはありません。
応用編:様々なシナリオで使ってみよう
このイディオムは、個人の行動から社会全体の風潮まで、幅広く使うことができます。
マーケティング戦略として:
Many companies are jumping on the "eco-friendly" bandwagon to attract customers.(多くの企業が、顧客を引きつけるために「環境に優しい」という時流に乗っている。)個人の行動への皮肉として:
He never liked football, but now that his local team is winning, he's suddenly jumped on the bandwagon.(彼はサッカーなんて好きじゃなかったのに、地元のチームが勝ち始めたら、急ににわかファンになったよ。)
「流行」を伝える代替表現
jump on the bandwagon の他にも、「流行に乗る」や「トレンド」を表す表現はいくつかあります。
follow the trend / follow the crowd
「流行を追う」「大勢に従う」という、より中立的で直接的な表現です。jump on the bandwagon のような批判的なニュアンスは含まれません。
She always follows the latest fashion trends. (彼女はいつも最新のファッショントレンドを追っている。)
go with the flow
「流れに身を任せる」という意味です。積極的に流行を追うというよりは、周りの状況や人々の意見に逆らわずに、自然体で合わせるというニュアンスです。
I don't have a strong opinion, so I'll just go with the flow. (特に強い意見はないから、流れに任せるよ。)
trend / fad
trend は「傾向」「流行」を意味する一般的な名詞です。一方、fad は「一時的な熱狂」「すぐに廃れる流行」を指し、ネガティブな意味合いで使われることが多いです。
The current trend is towards smaller, more efficient cars. (現在のトレンドは、より小型で効率的な車へと向かっている。)
That strange diet was just a fad. Nobody talks about it anymore. (あの変なダイエットは、ただの一時的な流行だったね。今では誰もその話をしていない。)
今日の英語クイズ
ある健康食品がテレビで紹介され、翌日から多くの人がそれを買い求め始めました。この状況を少し皮肉を込めて表現する時、最も適切な言い方はどれでしょう?
- Many people decided to see eye to eye.
- Many people jumped on the bandwagon and started buying the product.
- Many people went with the flow.
- It cost an arm and a leg.
答え
正解は 2. Many people jumped on the bandwagon and started buying the product. です。
テレビで紹介されたというだけで、その効果を自分で確かめることなく、多くの人が一斉に同じ行動を始める「便乗」の様子を、jump on the bandwagon が的確に表現しています。
最後に
今回は、「流行に乗る」を意味する jump on the bandwagon というイディオムをご紹介しました。パレードの楽隊馬車に人々が群がる光景から生まれた、皮肉の効いた面白い表現でしたね。
このイディオムは、社会の動きを客観的に、あるいは少し批判的に見つめたい時に非常に役立ちます。ただし、相手の行動を直接批判する際には、少しきつく聞こえる可能性があるので使い方には注意しましょう。
ぜひこの表現を覚えて、ニュースや日常会話の中で、トレンドについて語る際に使ってみてください!
参考・引用
- 特になし